歯の表面にプラークがたまると、その中に棲み付く細菌が食べかすに含まれる糖分を栄養にして増殖を繰り返し、酸を出します。そして、酸は歯の表層であるエナメル質を溶かしていきます(歯のカルシウムなどのミネラル分が少しずつ溶け出します)。これが虫歯のはじまりです。
ですが、歯は常に溶かされ続けているわけではありません。酸性に傾いた口腔内がだ液によって中和され、溶け出したミネラル分が再び歯の中にしみこむという修復作用(再石灰化)が繰り返されているのです。
普段から甘いものばかり食べたり、1日に何度も飲食をしたりしていると、歯の再石灰化が間に合わなくなり、虫歯へと発展する、というわけです。
*虫歯の進行段階
エナメル質が溶けて歯の艶がなくなり、黒ずんだ部分が見られるが、まだ痛みはない。患部を削り、詰めもので保護する。
歯に穴があき、冷たいものや甘いものがしみる。患部を削って詰めもので保護する。
歯に大きく穴があき、激痛をともなう。咬んだ時に痛んだり、何もしなくても痛んだりすることがある。歯を大きく削って、神経を取り、被せもので保護する。
歯の上部がなくなり、根だけが残った状態。神経が壊死するため痛みがなくなるが、膿がたまると再び激痛が起きる。ここまでの症状となると抜歯となり、インプラントや義歯(入れ歯)で歯を補う。
歯周病とは、プラークや歯石に棲み付く歯周病菌が毒素を出し、歯肉に炎症を起こし、徐々に顎の骨を溶かしていく病気。歯肉の炎症を歯肉炎、そして炎症がさらに進んで歯肉より深い部分で起こるものを歯周炎と呼んでいます。
歯周病は静かに進んでいき、初期段階での自覚症状がないというのが特徴です。ですから、症状が出た時には手遅れになることも多く、気付いた時には重症化しており、最悪の場合、歯が抜け落ちてしまうこともあります。
日本人の成人の約8割が歯周病かその予備軍といわれ、多くの方が歯周病は大した病気ではないと考えているようです。しかしそれは大きな間違い。歯周病は糖尿病や心臓病、肺炎、早産、低体重児出産などを引き起こす原因になることもあるといわれています。深刻な病気になってしまわないよう、歯周病と向き合い、しっかり治療していかなくてはなりません。
*歯周病の進行段階
歯肉炎![]() |
軽度歯周炎![]() |
重度歯周炎![]() |
*歯周病の検査方法
ポケット検査 | プローブというものさしを使ってポケット検査を行います。歯周ポケットの深さ、出血の有無を確認することで、歯周病の進行度合いを調べます。 |
歯の動揺度の検査 | 歯をピンセットでつまんで動かし、歯の動揺度を調べます。グラつきが大きいほど歯周病が進行していることになります。 |
レントゲン検査 | 見た目では確認できない顎の骨を調べます。骨が少なく写っているほど歯周病が進行していることになります。 |
*歯周病の治療
【歯周ポケット掻爬(そうは)術】
歯周ポケットの深さが3~5mm程度の軽度歯周炎の場合に行います。麻酔をしたうえで歯周ポケットの中にあるプラークや歯石を掻き取る治療です。肉眼で見えづらい箇所の治療であるため、豊富な経験と高度な医療技術が必要となります。